母乳信仰

この4月から、日本で2つ目の「母乳バンク」が運用開始になったそうです。
母乳バンクは、超早産・極低出生体重で生まれた赤ちゃんへ「ドナーミルク」を提供する施設です。
1.日本母乳バンク協会
2.日本財団母乳バンク

先日、母乳バンクに関連して宋美玄医師の記事を読みました。
8年前に、この記事に出会っていたかったなと思いました。
「妊娠37週以上の正産期に生まれた赤ちゃんなら、完全ミルクでも問題ない」
 https://times.abema.tv/articles/-/10017702

「母乳信仰」という言葉、聞いたことはありますか?
簡単に言うと「赤ちゃんは母乳で育てなければならない、育てるべきだ」という考え方です。
母乳にしか入っていない成分がある、産後の母体の回復を早める、などのメリットがあります。
清潔な水や粉ミルクが手に入りにくい国などでは、母乳が非常に大切だということも、理解できます。

でも、私は母乳がほとんど出ませんでした。
母乳マッサージも効果なし。
なんででしょう? …わかりません。
産後の肥立ちも悪く、慣れない育児で疲れているのに、時間をかけて搾乳しても、ちょびっと。
でも、子どものため、と思い、1滴1滴の母乳を集めました。
「母乳で育てると、病気になりにくい」と聞いていたからです。
娘も、母乳の出が悪いのが不満なんでしょうね、授乳を始めてもすぐに「ミルクお願いします」というリアクションでした。

妹はもちろん、妹の子ども(当時3才)も活躍してくれました

それでも、3か月、がんばりました。
娘の3か月検診のとき、産院の助産師さんに相談しました。
すると、「出ないものは仕方がないんだから、ミルクで大丈夫よ~」
「母乳で育てても、病気になるわよ~」(助産師さんの子育て経験談として)
と温かく、優しく、私に言ってくれました。
ホッとしました。
搾乳の辛くて、長い時間を、手放すことができました。代わりに、娘と過ごす時間が増えました。
ミルクは腹持ちが良いのか、ぐっすり眠る子になりました。
夫や母、妹のほかにも、父、おば、おじ、甥っ子などなど、娘の顔を見に来た人が喜んでミルクを作り、飲ませてくれました。私はその間、休むことができました。
助産師さんの言葉が、私の体と心を、どれだけ楽にしてくれたことか。
あれ以来、お会いしていませんが、ずっと感謝しています。

母乳で育てられるなら、それで良し。
母乳が出ないなら、ミルクもある。
ケースバイケースだと思いますし、信仰は個人の自由(なので善意であっても他人に押し付けてはいけない)ですが、
もし私のような新米ママさんがいたら、「ミルクだけだったけど、元気に育ってるよ」
という一例として伝えてあげたいです。

※超早産・極低出生体重等で生まれた赤ちゃんについては、必ず専門医の指示に従ってください。

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この記事は、2022年4月3日(日)配信の堀江ジャンクションメールマガジンに書いたものを、許可を得て、一部を編集して掲載しました。「堀江ジャンクションのメールマガジン」にご興味のある方は、こちらから配信方法をご確認ください。私もときどき、記事を書かせていただいています。